鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

Role&Roll Vol.107に「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」第16回が掲載されました

 フィクションの鏡を踏み跨ぎ、現実中世の風俗や文化を紹介する連載記事、その第16回が、このほど発売されたRole&Roll誌107号に掲載されています。
 今回は「邪教か、真の清貧か――異端カタリ派」というタイトル。岡和田晃さんの筆で、中世キリスト教社会において異端派として偏見にさらされ、激しい弾圧を受けたカタリ派を紹介しています。
 今回も岡和田さんの筆の運びは絶妙です。「異教と異端の違いとは?」「カタリ派はなぜカトリックと相容れないのか?」「厳しい苦行主義をとるカタリ派が、なぜ気候温暖な南仏で、多くの信徒を獲得できたのか?」などなど、読者が疑問を抱くたびに扉が開いて奥へ、奥へと誘われるかのごとき展開で、文字を追うことがそのまま知識の宮殿の探訪であるかのように読みすすめることができました。
 西洋中世風ファンタジー作品の背景設定は多神教社会であることが多いのですが、ひとつの教団内にも教義解釈の違いから、このように宗教戦争に近いような誤解と弾圧が発生しうるということは、さまざまなTRPGのシナリオ作成や小説創作にも応用できると思います。
 岡和田さんの担当回はいつもレベルが高くて甲乙付けがたいのですが、個人的にはこれまでの最高傑作と言えるかと思います。
 岡和田さんという書き手が文章で物事を伝える力がどれほどのものなのか、それを知りたいという方は、ぜひこの2ページの記事をお読みいただければと思います。
 そしてまた今回も、見田航介さんのイラストがすばらしいです。
 カタリ派を滅亡に追い込んだアルビジョア十字軍における教皇特使アルノー・アモーリの悪人面とセリフの冴えは、ぜひ誌面でご覧ください。また、本文の記述を補うさまざまな豆知識も、イラストのあちこちに盛り込まれています。

Role&Roll Vol.107

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