『エクリプス・フェイズ』用ソロアドベンチャー「女博士エヴァ・イオネスコの受難」が、Role&Roll Vol.145に掲載されました
『エクリプス・フェイズ』は400ページの大ボリュームで、税込み8100円。財布の紐と、ルール習得のどちらの観点から見てもハードルが高く、興味はあってもプレイにはたどり着けていないという方も少なくないのではないでしょうか?
6月末に基本ルールブックが発売されて以来、岡和田晃さんによる「スパイダー・ローズの孤独」(R&R Vol.143)、朱鷺田祐介さんによる「スカイ・アーク・クライシス」(R&R Vol.144)と、優れた入門シナリオが立て続けに発表されてきましたが、いっそさらにハードルを下げて、一人プレイに対応したソロアドベンチャーを作ってやろうと思い立ち、それがRole&Roll誌最新号に掲載の運びとなりました。
さらに手軽に、を意識して、ルールブックを所持していなくても、R&R Vol.92に掲載されたルール・サマリーがあればそれだけでプレイできるようにも工夫しました。ルールブックのあちこちにあるサマリーをひとつにまとめた「ルールサマリー」は先日公開され、それもまた非常に素晴らしいことなのですが、Vol.92のサマリーはそれひとつを手元に置いておけばプレイできるほど充実したもので、さすがは朱鷺田さんといったまとめ技が光る出来映えとなっております。こちらも再校正が終わっていますので、近いうちに公式サイトのダウンロードコーナーにお目見えするはずです。興味はあっても先立つものがなくて……という方は、ぜひそのルール・サマリーとこのソロアドベンチャーでEPの世界を体験してみてください。そして気に入ったなら、よろしければご購入ください。
さてこのソロアドベンチャーは一人プレイ可能なように戦闘時の敵の動きは自動処理できるようにし、情報収集パートはゲームブック方式でパラグラフからパラグラフへと飛ぶようにしました。大好きなゲームブックに(ほんの断片的なものとはいえ)初挑戦したわけなのですが、最後にパラグラフをランダムに並べ替える処理の手間はたいそうなものですね。校正でいくつかは潰したのですが、それでもパラグラフミスを出してしまいました。申し訳ありません。
ビド映像再生装置装置
エヴァ・イオネスコ博士の秘密にまつわる決定的なシーンの立体映像を投影する。これがあれば救出戦闘を情勢を一変させられるはずだが、第2場で#15にたどり着いていなければ情報不充分のため、この装置は使用できない。
こちらですが、「第2場で#15にたどり着いていなければ」とあるのは「#14」の間違えでした。申し訳ありません……。
また、ここで話が変わるのですが、このシナリオには紙幅の制約で割愛した幻の幕があります。誌上では第1幕:情報収集、第2幕:救出戦闘という構成になっているのですが、その前にミッションの依頼主ジェスパーによる模擬戦闘の一幕を当初は設けていたのです。それをこの機会に、ここに載せておきますので、興味のある方はぜひ、このチュートリアル戦闘からやってみてください。EPの遠隔戦闘と近接戦闘のそれぞれのツボを学べる造りになっていますので、システム習得にきっと役立つはずだと自負しております。
◆序幕:ジェスパーによる模擬戦闘
君にはこれが初のミッションなので、ジェスパーがチュートリアル戦闘の相手をしてくれる。この任務で想定される戦闘での戦い方のコツを手引きしてくれるというのだ。まず射撃戦の、次いで格闘戦の模擬戦をするという。
ジェスパーのデータは、同じく公式サイトからダウンロードできる「タイタンの探検家」を用いる。なお近接戦の命中判定で使う〈刀剣〉がないが、これは50と見なす。▼模擬射撃戦
これは遠隔攻撃の基本的な処理と、再装填の仕方を会得するための模擬戦だ。ジェスパーと君が近距離(命中判定の修正0)で向かい合い、ひたすら実体弾兵器で撃ち合う。両者とも移動は一切行わず、戦闘は3ラウンドのみ行う。
第1ラウンドはジェスパーの奇襲で始まる。彼は瞬間行動でアサルト・ライフル(AP −6、DV 2d10+6)を抜き、複雑行動で射撃する。続けて君の手番になる。同じく銃器を抜いて射撃することになるが、必ずヘビー・ピストル(AP −4、DV 2d10+4、SA/BF/FA)を使うこと。装弾数10発なのですぐに撃ち尽くし、再装填を強いられることになるからだ。
速度2の君のみ動ける第2フェイズからは、瞬間行動を照準に当てて命中+10にできることを忘れないように。
射撃モードは何がいい? 便利なのはBFだが、1フェイズに3×2の6発も消費するので、こればかり使っていると第2ラウンド早々に弾切れだ。そこで再装填が必要になる。通常なら瞬間行動で空のカートリッジを取り外して落とし、瞬間行動で新しいやつを抜き、複雑行動で装填だが、これだと1フェイズでは終わらない。急ぐなら自動行動でヘビー・ピストルを落とし、瞬間行動でサブマシンガン(AP −2、DV 2d10+3、SA/BF/FA)を抜き、複雑行動で射撃するといい。
第3ラウンドで模擬射撃戦は終了し、両者ともにダメージや負傷はすべてリセットされる。▼模擬格闘戦
今度は「ショック・グローブ」で敵を生け捕りにするコツを教えてやろうとジェスパーが言う。模擬格闘戦のラウンド数は無制限。射撃と違って1フェイズに1回しか攻撃できず、敵の〈回避〉も半減値ではなくフルになるので、空振りが多くなることに注意しよう。
第1ラウンドから通常のイニシアティブ判定をする。ジェスパーの武器はダイヤモンド・アックス(AP −3、DV 2d10+6)。君のショック・グローブ(AP なし、DV 1d10+3+ショック)は最初から手にはめているので、単分子剣(AP −4、DV 2d10+5)を落とせばすぐに使える。ここで「ショック攻撃」のルールを確認(ルール191P)。攻撃が命中すると、敵は《耐久値》(ダメージで減った現状値)+対エネルギー装甲値で判定をする。つまり、《耐久値》をある程度減らしてからでないと効果が見込みにくいと言うことだ。2回くらいは単分子剣で通常攻撃をしてから、ショック・グローブに切り替えるようにしよう。この戦法が最終戦闘できっと大きな効果を発揮するからと、ジェスパーは意味深に告げる。
ここで近接戦闘のルール規定における注意点をひとつ。両手に武器を持ついわゆる二刀流の場合、通常は「利き手でない腕(逆手)を使用」による−20ずつの修正値が命中判定に累積的に課されていく(ルールP189の「複数武器の同時使用」より)ため、八本足のオクトモーフが四本足で身体を支え、残り四本すべてに武器を持った場合などはそれはもうえらいことになる。それを避けるためには「両手利き」の特徴(コスト:10CP)を取得しておく必要があるのだが、『エクリプス・フェイズ』の近接戦闘には、複数の近接武器での集中攻撃について一風変わったルールがある。
「追加の近接武器」(ルールP189)がそれだ。それによれば、2本以上の近接武器で単一目標を攻撃する場合、すべてを単一の攻撃と見なして命中テストは1回のみ行ない、しかもその際、逆手武器による不利な修正はすべて無視される。つまり、「両手利き」の特徴がなくても複数の武器を有利に使えるのだ。そして攻撃のダメージは、追加の武器が1本あるごとに+1d10(最大でも+3d10)される。
このことに気づいた君なら、単分子剣だけでなく、もう1本の近接武器であるワスプ・ナイフ(AP −1、DV 1d10+5)も抜いて二刀流で戦った方が多くのダメージを敵に与えられることに気がつくことだろう。ワスプ・ナイフを抜くことに瞬間行動がかかるので、場合によっては攻撃のための複雑行動を1回無駄にすることになるかもしれないが、ぜひ、模擬戦闘でいろいろと試してみてほしい。こちらの模擬戦も、終了後に両者のダメージや負傷はすべてリセットされる。
それでは長くなりましたが、以上です。
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