戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典第27回がRole&Roll Vol.129に掲載されました
フィクションの鏡を踏みまたいで現実中世の風俗や文化を紹介する連載。その第27回が、R&R誌最新号に掲載されました。
今回は自分、待兼の筆で、中世の刑吏について書いています。
森鴎外の「高瀬舟」は、病で苦しむ弟の自殺現場に居合わせてしまった兄が、苦悶する弟の首から刃を抜いてやったところを近所の老婆に見られてしまい、人殺しの罪人としして流刑の高瀬舟に乗せられるという話です。テレビ朝日系の『はぐれ刑事純情派』の再放送を見ていても、自殺しようとする恋人からナイフを奪おうともみ合っているうちに、握ったナイフが相手の胸に刺さってしまったなど、同じような事例がひんぱんに出てきます。
そのように事情はさまざまであっても、犯罪者は犯罪者。そして前近代の法は無慈悲にして冷酷。かくして多くの者たちが、降りかかった不運への申し開きも許されずに断頭台の露と消えました。
前近代の処刑は見世物を兼ねてもいましたから、処刑人には白刀一閃のもとすぱりと見事に断頭する手腕も求められました。しかしそれには罪人の協力も欠かせません。罪人が手を合わせ、従容と首を差し伸べることではじめて、斬首は観衆を喜ばせる見世物たり得るのです。
ですから、拷問人/尋問者を兼ねる処刑人には、みずからが犯した罪を受け入れ切れていない罪人をなだめて、死出の旅に導く案内人としての役割もありました。今回は、そのあたりを記事にしました。
いつものことですが、今回もライターの筆が到らないところを見田航介さんのイラストに助けていただきました。剣が空を切る音すら聞こえてきそうなイラストをぜひご覧ください。
- 作者: アークライト
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