鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典第24回がRole&Roll Vol.123に掲載されました

 フィクションの鏡を踏みまたいで現実中世の風俗や文化を紹介する連載の第24回が、R&R誌最新号に掲載されました。
 今回は岡和田晃さんの筆で、中世の商人を紹介しています。

 商人にスポットライトを当てた場合に、ライバルとして闇に浮かび上がるのが聖職者です。
 十字軍前夜の11世紀ころに交易商人が活動をはじめたわけですが、当時読み書きができたのは聖職者くらいだったので、商売の重要な部分を部外者に握られた状態にありました。そこで読み書きそろばんを習わねばならぬと、学習熱が高まったわけです。
 また、魂の救済という点でも、商売は汚れた行いという認識はなかなか改まりませんでした。

 そうした大きな流れをきちんと踏まえた上で、魅力的なエピソードを端々に織り込んでくれるのが岡和田さんのすごいところです。
 TRPGのマルチクラスを地で行くような「騎士にして商人にして僧侶」のカール・フォン・デア・ザルツガッセや、穀物を扱うことの多い商人の職業病とも言える「麦角中毒症」の治療に聖アントニウス教会が活躍したことなど、TRPGのシナリオ作りや小説創作に活かせそうです。

 今回も見田航介さんのイラストがすばらしく、「商人と教会」を一枚の絵がすっきりまとまっています。間違いなく理解に役立つイラストですので、ぜひご覧ください。

Role&Roll Vol.123

Role&Roll Vol.123