鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

EPワールドガイド「宇宙の歩き方」(6)が、Role&Roll Vol.116に掲載されています

朱鷺田祐介さんによるワールドガイドの第6回が、R&R誌最新号に掲載されています。

今回は木星圏の紹介です。『エクリプス・フェイズ』(EP)の世界では魂(エゴ)がデジタルデータ化され、義体を乗り換えて魂をダウンロードすることも、デジタルコピーして自分の分身(すなわち分岐体〈フォーク〉)を複数作ることも、魂だけを飛ばすことで遠い惑星へすばやく移動することも自由自在にできます。

そんななか、義体を否定し、生身の身体しか認めないという極端な政策を採るのが木星共和国です。

その経緯の説明がさすがは朱鷺田さんで、たいへん説得力があります。〈大破壊〉でアメリカが崩壊してネオコンばかりが木星に移住して生き延び、そこにローマ法王庁までが逃れてきたせいで、極端に保守的で、偏った信仰にとらわれた国家ができあがりました。

それは言うなれば、ネオコン+中世ヨーロッパ+ナチスドイツ/ソ連/中国などの全体主義国家、といった要素がすべて混ぜ合わされた悪夢のような国家で、SFという舞台を借りて歴史上の諸問題についての解釈を提供するという感じで、EPの作り手たちのセンスの素晴らしさを感じました。

Role&Roll Vol.116

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