鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

Role&Roll Vol.98に『エクリプス・フェイズ』エントリー・ミッション「カリスト・クライシス」が掲載されました

 R&R誌ではVol.92の体験版に続いてVol.93〜95と、ルール要素を少しずつ追加した続編シナリオが掲載されてきましたが、前々号のVol.96からは有名なSF小説/映画をモチーフにした短編シナリオが掲載されることになりました。

 執筆は、もちろん朱鷺田さん。朱鷺田さんならではの換骨奪胎の妙をぜひ実プレイでお確かめください!

 今回の舞台は木星の衛星カリストの「氷田」。
 名前からわかるように、日本をはじめとする太平洋沿岸諸国の出資で建設されたドーム都市です。

 そして、元ネタとなる作品は『アイアン・スカイ』。月からナチスがUFOで地球に攻めてくるというブラックユーモアあゆれるSF映画です。

 ナチス……といえば、それを彷彿とさせるイデオロギー統制国家が『エクリプス・フェイズ』の太陽系にも存在します。同じ木星の衛星ガニメデを本拠とする木星共和国です。
 木星共和国は、義体の着装やエゴキャスティングをいっさい認めない極端なバイオ保守主義政策をとり、ローマ・カソリック教会の新たな本拠地ともなっています。彼らをそこまで凝り固まらせたのは、10年前の“大破滅”の際に暴走AIティターンズから壊滅的な打撃を受けたことでした……というあたりも、第一次世界大戦後のドイツとどこか重なりますね。
 ちなみに「氷田」はほんらい自由交易都市ですが、そんな木星共和国の影響下で戒厳下にあります。同じく衛星カリストにある木星共和国の属国ゲルズが独立を画策しているとの噂が流れたことで、「氷田」にも宇宙艦隊を差し向けて、あからさまな脅しにでたのです。

 そんな吸収併合の危機のさなか、「氷田」の異星考古学者・田村アリエスから、とある発掘品を守ってほしいとPCたちは依頼を受けます……。

 プレイに必要なルールサマリーとサンプル・キャラクターは同誌Vol.92に、追加データはVol.93〜97に掲載されています。そして今回は、NPCとして登場する「木星共和国のスパイ」のキャラクターシートが追加されています。

 というわけで、今回の舞台は木星の衛星なわけですが、過去のミッションをふり返ってみましょう。

*c5351は、太陽系外縁部のカイパーベルトにある小惑星

 う〜ん、こうしてみると、朱鷺田さんの連載が『エクリプス・フェイズ』のワールドツアーを兼ねていることがよくわかりますね。

 手軽な短篇を少しずつプレイすることで、世界観をつまみ食い的に味わえるわけで、エントリーガイドとしての役割は大きいですね。いずれ、この連載が単行本化されることを期待せずにはいられません!

 ちなみに今回のR&R Vol.98は、イラストがどれも出色でした。
 シャドウラン特集に合わせた表紙から、「うちのファンタジー世界の考察」の水中風景、それに深淵記事、ブラッド・クルセイド記事、カードランカー記事それぞれののタイトルイラスト、さらには『ミ=ゴの脳みそハント!』というゲーム紹介記事のタイトル部分など、見ていてわくわくしました。