『Xの悲劇』新訳〜まるでデジタル・リマスタリング〜
『Xの悲劇』といえばミステリの古典中の古典でして、だれもが名前くらいは知っている作品です。
かくいう自分も中学生のときに読みました。まあ背伸びがしたい年頃ですから。しかし、例えていうならフルサイズ(250cc)のモトクロッサーに素人がおっかなびっくり乗って転倒せずにコースを一周できたことを内心の自慢にするようなもので、自己満足以外には何の意味もないことです。
自分も、『Xの悲劇』を読んだという事実を覚えているだけで、本の中身はまったく覚えていません。人物も舞台も設定もです。あっ、もしかしたら読んだのはXではなく『Yの悲劇』のほうかもしれません。その程度のものです……orz
というのも、昔の翻訳小説ってやたらに難しかったんですよね。翻訳家も明治生まれだったりしますし。
で、今年初めに角川文庫から出た『Xの悲劇』の新訳を読んでみました。
- 作者: エラリー・クイーン,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
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ううっ、こんなにわかりやすいとは。
いや、推理のことじゃないですよ。文章のことです。
古くさい作品という先入観を持っていたのですが、登場人物が個性的で生き生きしていますし、探偵役の老優ドルリー・レーンがとっても魅力的です。
現代日本に設定を移して北大路欣也主演でドラマ化してほしいくらいです。いや、これは松本清張シリーズに負けませんよ。
翻訳って大切なんですね。←今頃いってる場合か>自分
自分も『ドラッケンフェルズ』で恥かきましたけど(汗)、名手の手にかかるとこれだけ変わるものなのですね。
そういえば同じような感想をもったことがあります。
- 作者: H・P・ラヴクラフト,大西尹明
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これってまさにデジタル・リマスタリングだな、と思った次第です。文字だけの世界にもデジタル・リマスタリングってあるんだな〜と感心しました。