鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

コマンド・マガジン142号に、「日本の降伏」というヒストリカルノートの翻訳が掲載されています

CMJ 142号の附録ゲームは「嵐の8月 満州1945」。ソビエト連邦による満州樺太、千島列島への武力侵攻を扱ったもので、もしも日本政府がポツダム宣言を受諾せずに戦争が長引いていれば……という歴史のifを含んだものとなっています。

ポツダム宣言の受諾決定に至るまでの混乱や紛糾については半藤一利著『日本のいちばん長い日』にありありと描きだされているもので、1967年と2015年の映画版をそれぞれご覧になった方も多いかと思います。

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同書とほぼ重なる内容でありながら、アメリカ人の視点で記述されているところが意義深い「日本の降伏──玉音放送までのいちばん長い24時間」というヒストリカルノートの拙訳が同誌に掲載されております。

玉音放送の原稿である「終戦詔書」の英訳が原文にあり、その現代日本語訳も自分が手がけました。ウォーゲーマーの知的水準はきわめて高く、国会図書館サイトからオンラインで読める原文そのままの掲載でも差し支えないのではと当初は考えたのですが、文語体であり、さすがにそのままで全文を読破するのは難しいと考えて、漢字とカナ交じりという体裁はそのまま生かし、難解な言い回しの部分のみを現代文章語に置き換えて現代語訳といたしました。

ところでウォーゲームとは司令官のジレンマを追体験できる媒体であり、敵勢の内情について、書物では得られない洞察を与えてくれるものでもあります。そこで、北朝鮮をめぐる最新のウォーゲームがあればぜひやってみたいと思います。Korea1995/2005というのはコマンドマガジンのバックナンバーにあるのですが、Korea2020といったものが待ち望まれますね。

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)