鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

EP入門シナリオ「スパイダー・ローズの孤独」がRole&Roll Vol.143に掲載されています

 6月末に発売となったSF-TRPG『エクリプス・フェイズ』(EP)ですが、ルールブックが400ページという大著で、かつSF独特の約束事への前提知識が必要な面もあり、どうプレイしてよいのかわからないという方も少なくないのではないでしょうか?
 現につい先日、昔の翻訳チームの仲間らとオンラインセッションをやってみたのですが、プレイそのものは非常にエキサイティングで充実した時間を堪能できましたが、「ここがわかりにくい」というご意見をいくつか頂戴しました。
 「キャラクター名やイラストから役柄がつかみにくい(「辺境民のジーン・ハッカー」っていったい何をする人なの?)」や、「義体着装(再着装)、キャラクターの死と復活についての概念やルールがいまひとつつかみにくい」というようなご意見です。ぶ厚いルールブックがルールパートとフレーバーパートで章ごとに分かれているのはよいのですが、ルールパートを読んだだけでは概念がわからずに結局はフレーバーも読まねばならずに負担が重くなるという構図があるようです。
 世界観やルールの解説は朱鷺田祐介さんによるR&R誌での連載でわかりやすくなされてきたのですが、ルールサマリーで乗った入門ガイドがVol.92と、もう4年も前の号になりますので、改めて、入門ガイド+導入シナリオ+わかりやすいサンプル・キャラクターを詰め合わせたジャンプスタート・キットのリリースが必要であると痛感しました。1980円くらいでイラストや図版がふんだんにあって、それ単体でプレイ可能な簡易版ルールもついていれば、ためらっている人の背中を押す効果もかなり期待できるのではないでしょうか?

 さて前置きが長くなりましたが、ルール発売後第一弾となる入門シナリオ(+運用ガイド)となる「スパイダー・ローズの孤独」が、Role&Roll最新号に掲載されました。
 作者は岡和田晃さんで、これまでのシナリオと違ってルールブックの参照ページが要所要所に入れられており、たいへん親切な設計となっています。
 シナリオ自体も三部構成で、ルール・チュートリアル(プレイヤーが無茶をしても救済手段がある)、情報収集、そして待ちに待った戦闘と徐々に盛り上がっていくつくりで、各部1時間目安で合計3時間というペース配分も案内され、初めてEPを取り回すGMにも嬉しい作りです。
 そして何より、一部の特殊な設定のキャラクターを使わない限りはルールの一部を読むだけでプレイできるように案内されていて、プレイヤーにやさしい設計です。

 また、金星の浮遊都市内にあるあやしげなテーマ・パーク「七賢の庵」の設定もコミカルでおもしろく、時代考証がずさんでニンジャやゲイシャも出てくる始末というあたりにはニンマリさせられました。このあたりも岡和田さんの実力ですね〜。

 というわけで超オススメの入門シナリオのご紹介でした。ぜひ、実際にプレイして確かめてみてください。

Role&Roll Vol.143

Role&Roll Vol.143