鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典第20回が、Role&Roll Vol.115に掲載されています

フィクションの鏡を踏み跨ぎ、現実中世の世相風俗を紹介する連載の第19回が掲載されています。今回は岡和田晃さんの執筆で、「渡る世間は鬼か悪魔か――中世の家門」というタイトルです。

シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を切り口に、中世における家門の概念や結婚のあり方などが見開き二ページの記事内にたっぷりと描かれています。夫の側が用意する「婚資」と、妻の側が用意する「嫁資」が逆転したのはなぜかというあたりも紹介されており、とても参考になります。

ちなみに同連載の15回「いばら姫の現実〜糸つむぎ部屋の実態と西洋中世の結婚事情」では、おもに庶民の結婚事情を取り上げており、今回の記述は富有階層がメインですので、合わせてお読みになるとより理解が深まることと思います。

R&RのWeb版ができて、この連載などの汎用記事がブラウザで読めるようになるとよいと思うのですけど……。

今回も見田航介さんのイラストが出色で、ローマ法とゲルマン法での親等数の数え方の違いが一目でわかるようになっていますし、いつものように細かな情報がいろいろと散りばめられています。

そして本文も、さすがは岡和田さんです。書き手の実力の違いでこうまで変わるのかという好例だと思いますので、文章修行をされている方は、岡和田さん担当回と自分の回を読み比べると勉強になるかと思います。

しかし今回もご紹介がたいへん遅くなってしまいました。ようやく文明社会に帰ってこられました。収容所生活で、夜になって電気のある詰め所につくことができ、作業をしながらカップラーメンを食べられたのは本当に幸せでした。

Role&Roll Vol.115

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