鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

Role&Roll Vol.92の特集は『エクリプス・フェイズ』体験版です


 遅くなりましたが、Vol.92が5/18に発売されています。今号の特集はズバリ、『エクリプス・フェイズ』体験版です。日本語版翻訳監修者・朱鷺田祐介さんの執筆となります。

 内容は、世界観紹介、ルール・サマリー、体験版シナリオ、サンプル・キャラクターの四点セット。つまり、これ一冊で白紙の状態からゲームの世界観とルールの概要を把握し、サンプル・キャラクターを用いての実プレイができるようになっています。じつにお得な特集ですね。

 世界観紹介は、Webのあちこちに散在している『エクリプス・フェイズ』関連のテキストを見開き二ページにぎゅっと凝縮したもの。コアユーザーの確認用としても優れています。

 ルール・サマリーもやはり見開き二ページで、製品版の巻末に挿入したいほどの出色の出来です。これひとつでプレイ中のルール確認はばっちりなのですから。これはぜひ、サンプル・キャラクターのデータとともにWeb公開もしてもらいたいと個人的には思います。

 そして体験版シナリオ「ヘリオンズ・エッグ」は、豊穣な物語性とエキサイティングなゲーム性を短編中に凝縮した朱鷺田さんならではの完成度の高いものです。
 遠方の大都市や重要拠点に敵の上陸船団が接近中といった状況の場合、従来のTRPGでは敵に追いつくことを優先するために情報収集をあきらめざるを得ないのが常でした。しかし、分岐体(フォーク)という魂(エゴ)のコピーを作成して別行動させ、メッシュという超光速ネットで常時同期をとることが可能な『エクリプス・フェイズ』では、本人が敵を追いつつ、複数の分岐体に別々の地点を捜索させることもできます。
 そうした、このゲームならではのキモが、シーン毎のテーマとなっており、それをひとつひとつ経験することで、プレイヤーは『エクリプス・フェイズ』の世界観とゲームシステムを身につけられるようになっています。

 特に感心したのは、シナリオ冒頭でバックアップから復活したPC本人たちが前の任務で死亡したシーンを再生するという設定で、習熟用の模擬戦闘が設定されていることです。再生ですから、負けようが全滅しようが関係ないわけで、初体験のプレイヤーでも臆せずプレイできるようになっています。ここで仮にPCたちが勝ってしまうと、前の任務で死亡したという設定が崩れるようにも思えますが、そこは朱鷺田さんです、手抜かりはありません。きちんと解決策が用意されています。

 このシナリオは本当にお勧めです。しかも、ちょっとだけインサイダー情報を出しますと、次のVol.93には続編が掲載予定です。これまた楽しみですね!

 最後に、Vol.92の巻末をちらりと見ると、ゲームノベル「テキサス・ゾンビーズ(仮)」(作・友野詳、画・洋武)が予告されていました。おお、またゲームノベルが付くのですね。こちらも楽しみでなりません!

Role&Roll Vol.92

Role&Roll Vol.92