鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

WIRED Vol.3に翻訳記事が掲載されました


 またまた報告が遅くなりましたが、3/10発売のWIRED Vol.3に自分の翻訳した記事が掲載されております。
「ユリ・ミルナーはシリコンヴァレーの救世主か、破壊者か」というタイトルで、FacebookTwitterに巨額の投資をしたロシア人投資家が、閉鎖的なシリコンヴァレーに“よそ者”として乗り込み、成功をつかむ軌跡を描いたものです。
 これは、「破壊者たちの新たなビジネス革命」と題された特集記事のひとつでして、他にもアマゾンCEOジェフ・ベゾス、あの掃除機を産みだしたジェームズ・ダイソン、基本無料の楽曲ストリーミング・サーヴィスSpotifyを率いるショーン・パーカーを紹介する記事が一本ずつあり、各人各様にカラーの異なる破壊者ぶりが紹介されています。
 日本の大企業のトップというと優等生ばかりで、こういうタイプは少ないですね。ユニクロ会長の柳井さんくらいでしょうか。

 また、各界の思惑によって原発開発史から脱落させられた「トリウム溶融塩炉」をめぐるストーリーもたいへん興味深いものでした。メルトダウンも爆発もせず、核兵器への転用も難しいトリウム原発が早い時期に実用化され普及していれば、われわれが今生きている2012年春は、スリーマイル島チェルノブイリも福島も緑豊かな地名として語られるに過ぎない、まったく別の世界だったかもしれないと思うと、目まいを感じずにはいられません。
 全世界での原発全廃が現実には難しい以上、トリウム原発を早期に実現して新たな原発の建設はそれに限定する国際ルールを作ることが有効だと感じました。
 核兵器転用の難しいトリウム原発しか作れないなら、北朝鮮のような国が平和利用を名目に核兵器開発を進めることもできなくなるのですから。

 それはそうと、写真を含めたレイアウトの美しさや、紙の手触りも含めた質感など、とてもこれで480円とは思えない上質感は健在です。広告ページですら、ひらけば一種音楽のようなときめきがあります。忙しい日々に無理にでもオフの時間をつくって、WIREDのページを繰るひとときを味わいたい――そんな気分にさせられます。