鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

「Role&Roll」誌に『エクリプス・フェイズ』リプレイが掲載されています

 長らくご無沙汰いたしました。年始早々から身動きが取れなかったのですが、ようやく人心地つくことができました。

 さて表題ですが、翻訳監修者・朱鷺田祐介さんによるリプレイがRole&Roll Vol.88から始まり、今月発売のVol.89にはその第2回が掲載されています。
 雑誌掲載のリプレイにはシステムや世界観の紹介という役割がまずあるわけですが、朱鷺田さんのリプレイで感心するのは、それだけでない読ませ方の工夫があるうえ、「バックアップからの死後蘇生が普及した世界で生きるってどういうこと」というような、世界設定に対する考察までがなされていることです。

「金星の人狼 -Garou in the Venus-」と題されたそのリプレイは、金星の浮遊都市で発生した連続猟奇殺人事件の謎を4人のPCが追うもの。
 作品の背景世界は、戦闘AI「TITANS」の反乱によって地球が壊滅してから10年後の太陽系。惑星や衛星ごとのローカル政府や、ハイパーコープと呼ばれる星間企業がおのれの利益ばかりを追求するなか、人類を「絶滅リスク(Xリスク)」から救うために暗躍する謎の組織「ファイアウォール」に所属して、外部エージェントとして任務を遂行するというのがPCたちの役回りです。

 PCは、金星政府の広報官をつとめる美貌の女性、タイタン出身の宇宙探検家、宇宙の放浪民スカム出身のあらくれ娘、昆虫型義体に乗り込んで鉱山労働に従事する技術屋、そしてタコ型義体を駆る宇宙サルベージ業者という個性的な5人。生まれも姿も職業もてんでんばらばらな彼らがファイアウォールからの依頼を受けて、一致協力するわけです。

 Vol.89掲載のリプレイ第2回では、連続猟奇殺人事件の被害者のひとり(死後バックアップから蘇生)にPCたちが接触したことで、事件の背後に人狼作成計画があるらしいことが判明します。パンドラ・ゲートの彼方にある氷の惑星で失踪したゲート・クラッシャーの身にいったい何が起きたのか? そして、巨大な爬虫類の物とおぼしき青い鱗とは? 今後の展開に期待が高まります。

 そのリプレイ第2回は、金星の浮遊都市の外をテラフォーミングによる生命体が舞い飛ぶ情景から始まり、ゴーストライダー・システムという、デジタル化された他人の魂(エゴ)を体内に収納するサブ・システムの紹介などもまじえて展開します。血湧き肉躍る冒険の端々にこうした細かい情報を織り込む手腕は、ぜひとも参考にしたいものです。

 Vol.88掲載のリプレイ第1回には、4人のPCの背景が各人各様に詳述されているほか、『エクリプス・フェイズ』のシステムについての解説もあります。連続猟奇殺人事件でやはり命を落としたスカムのあらくれ娘が復活する過程や、灼熱の金星地表の鉱山で働く技術屋のカイジっぽさなど、読みどころ満点です。前回読み逃した方も、今回改めてお読みになってはいかがでしょうか?

Role&Roll Vol.88

Role&Roll Vol.88

Role&Roll Vol.89

Role&Roll Vol.89

 ちなみに、今週末の2/25(土)には、EP体験会がまた行われます。GMはリプレイ執筆者の朱鷺田祐介さんと、EP翻訳チームの畠山望さんです。中の人たちに細かい設定などを聞くチャンスでもあります。まだ人数に若干の余裕があるそうですので、こちらも合わせてどうぞ。
http://www.arclight.co.jp/r_r_s/03_event.html