鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

大阪に行ってきました

翻訳の勉強会があって大阪に行ってきました。なんというか、行くたびに士気ボーナスをもらえる街ですよね。東京は乾いた冷たい街だと思うのですが、大阪は人情味のある温かい街です。

自分は貧乏人4/ドケチ3/鉄ちゃん1のマルチクラスなので、行き帰りは当然、金券ショップで買える近鉄株主優待券を使いました。名古屋から大阪まで1500円で行けます。急行の乗り継ぎで三時間ほどかかりますが、鉄ちゃんのクラス特徴があるので、本でも読んでれば三時間などは楽勝です。

宿は地下鉄動物園前駅近くの1800円の安宿に泊まりました。この値段でも冷房完備のしっかり鍵のかかる個室で、大浴場もついているので自分的には充分すぎます。ただ、靴を部屋に持って上がるのが特徴的ですね。さらに西成の奥の方に行った銭湯の張り紙に「靴ドロボーに注意」と書いてありましたが、靴が盗難の対象になるというあたりが西成らしいと思いました。

翻訳の勉強会ではレベルの高さに衝撃を受けました。原文の読みの深さと日本語での再現力において、どなたも自分よりはるか上におられますし、先生に至ってはもはや大気圏外という感慨を抱きました。

しかし例えば作詞家やゲームのシナリオライターが小説家になったりと、物書きの職種間ではマルチクラスが頻繁に行われているのに対して、翻訳だけは一本伸ばしするしかない袋小路クラスだなという印象も持ちました。どんな世界でも一流になるためには並大抵ではない努力が必要だと思うのですが、何というか、文芸翻訳家とは壁画修復師のようなもので、完璧であることが当たり前とされて、その技術がどれだけ凄いのかが判ってもらえていない気がしますし、しかもその修復技術は、オリジナルの絵を一から描くことにはなかなか生かしづらいとも思ったのです。

人生の悲哀を感じ、それよりはむしろ快楽の邪神スラーネッシュが両手をひらいて堕落者を抱きとめようと待ち構えている滑りやすい坂道に足を進めたい衝動に駆られたのでした。