鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典第29回がRole&Roll Vol.133に掲載されています

フィクションの鏡を踏みまたいで現実中世の風俗や文化を紹介する連載。その第29回が、R&R誌最新号に掲載されました。
今回は自分の筆で、テーマはフェーデ(私闘)です。

今も昔も警察力は有限です。自転車泥棒まで本気で捕まえようとするなら成人男子全員に持ち回りで巡回義務を課すくらいの国家総動員的体勢が必要で、とても現実的ではありません。そこで、警察力の隙間を民間人の自助に委ねる制度は古来あり、現代日本でも現行犯の逮捕に限っては民間人にも執行が認められています。

警察組織が成立するのは近代国家が成立してからですから、前近代には「私闘(フェーデ)」「血讐(ヴェンデッタ)」など、血族を単位とした復讐によって処罰を行うことが制度化されていました。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をみても、モンタギュー家とキャビュレット家の対立は状況的にはフェーデであり、つまりあの物語の裏には『仁義なき戦い』のごとき抗争が見て取れるわけです。

そのあたりを記事にしました。今回も見田航介さんのイラストが出色で、剣が風を切る音さえ聞こえてきそうな大迫力の構図をぜひご覧ください。

ところで、日本で復讐といえばまずもって忠臣蔵ですが、大の大人が集団で人殺しをすることに民衆が拍手喝采するというのはある意味危険だなあとも思いました。ただし念のために断っておくと、自分も仮名手本忠臣蔵は大好きなのではありますが。

Role&Roll Vol.133

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