戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典第25回が、Role&Roll Vol.125に掲載されています
今回のテーマは、南ロシアの草原地帯にかつて存在したユダヤ教国家ハザール可汗国です(読みは「ハザル」や「カザール」とも)。シルクロードの草原の道が通り、のちのキプチャク汗国とも重なる地域ですが、モンゴルの近くに由来する遊牧民国家がユダヤ教を国境として受容し、多民族の通商国家として栄えました。
オスマン帝国最盛期のスレイマン大帝(1522年にロードス島を攻略し、1529年にウィーンを包囲)は肖像画を見ると日本人の目にはコーカソイドに見えますが、オスマン朝ももともとはモンゴルの近くに由来するわけですね。
ハザール可汗国が栄えたのは7〜10世紀くらいですから、支配層はモンゴロイドの特徴をまだ色濃く残していたはずです。ただし民衆レベルでは通婚によって混血がかなり進んでいたかもしれません。ハザール可汗国はモンゴルの征西によって消滅しますが、ユダヤ教を信仰する民が東欧に流れて東欧系ユダヤ人(アシュケナージ)の祖になったという説も根強く存在します。あのアインシュタインも「もしかすると祖先はハザール人かもしれない」という趣旨の発言をしています。
キエフ・ルーシの大公スビャトスラフ一世(在位945ころ〜972年)は弁髪のような髪形をしていたと言われ、大公を可汗と称する例もあり、大昔のロシアがヨーロッパとアジアの中間的な位置づけにあったことがわかります。歴史の流れ次第ではロシアと東欧がイスラム圏になっていた可能性も、アジア的な地域になっていた可能性もあり、興味深いです。
と、収拾がつきませんが……。
- 作者: アークライト
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