鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

『トーキングヘッズ叢書 No.73 変身夢譚』に、植物変身譚コラムが掲載されています。

TH叢書最新刊の特集は「変身夢譚――異分子になるこの願望と恐怖」。変身といえば誰もが真っ先に思い浮かべるのはカフカの短篇「変身」ですが、なんというか、それを含めた定番中の定番については誰かが書くに違いないから……という三すくみのような書き手の心理から、間接的アプローチ狙いの記事ばかりになってやや迫力を欠いてしまった印象を受けました。

いや、植物変身譚などという穴狙いのコラムを寄稿している自分を棚に上げて……ですが。

拝読してとくに心に残ったのは、友成純一さんの映画評と、高槻真樹さんの映画変装史のコラムと、映画関係で収穫の多い号となりました。あとは「異色肌ギャル」のインタビューですね。このインタビューにTHらしさが凝縮されている気がしました。

また、連載陣の安定感と充実ぶりもすばらしいです。特に岡和田晃さんのサンリオ闘争についての今回の記事は、資料的価値も高く、引き込まれてしまいました。

さて自分は、変身譚の中でも人間が植物に変化する作品をいろいろ考察したのですが、書き手の実体験や思いに引き寄せて書くことがうまくできていなくて、書籍からの又聞き的な記述ばかりになってしまったところは反省しております。もっと書き手として力をつけなければ。