鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

夜行長距離フェリーについての記事がダイヤモンド・オンラインに掲載されました

ゼロ泊3日のいわゆる「弾丸」旅行商品をよく見かけます。往復夜行とすることで宿泊費を節約しながらも現地滞在時間を長く取れることを売りにしたものです。となれば往復の交通費も極力低く抑えたいのが人情で、それゆえ夜行バスや格安航空便を利用したプランが多くなっています。

そこでどんな旅行プランがあるのかと「弾丸ツアー」(ちなみにこの言葉はJTB登録商標です)で検索すると、実質トップでヒットするのは「弾丸フェリー/フェリーさんふらわあ」です。なるほど、フェリーという手があったのかということで、利用体験をもとに記事にしました。

日本国内のフェリー便に着目すると、航路が集中しているのが瀬戸内海です。日本地図を見ればわかるのですが、関西から九州の東海岸までほぼ一直線に移動でき、所要時間も理想的で、夕方から夜に出港して翌朝に目的地に到着するため、太平洋ベルト地帯の物流需要の多くを担っております。そのインフラを旅客が利用できるという好循環が成立しています。

つまりはフェリーを宿代わりに利用できるわけです。宿代わりというのが夜行便のよさなのですが、バスや飛行機の座席ではあくび混じりの仮眠がせいぜいであるのに対して、フェリーは空間的余裕が大きいためたとえ大部屋でも布団で手足を伸ばして寝られるという利点があります。

しかもフェリーは大型船なのでレストランや大浴場もついており、寝台列車と違って空間も広々としています。

この瀬戸内航路ならではの利点はたいそうなもので、“爆買い”の中国人など外国人観光客の国内移動ルートとしても有望ではという提言を盛り込んで記事にしました。

しかし一方で瀬戸内海は東京から遠く、首都圏発の膨大な需要を取り込めないという欠点も同時にあります。ならば東京発のフェリーはどうなのかというと、こちらは東京湾の地理的制約から使い勝手のよいフェリー便が設定しづらい状況にあります。

東京湾は奥深すぎて湾口に出るまでの時間がかかりすぎ、どこへ行くにも陸上便とのコスト競争で敗れ去る運命にあるという事情があるのです。かつては東京〜那智勝浦〜高知や、川崎〜日向のフェリーもあったのですが、そうした事情から2001年と2005年にいずれも廃止になりました。現在、東京湾から出る長距離フェリーは東京〜徳島〜新門司便のみですが、徳島発が翌日の昼過ぎ、新門司着が翌々日早朝と、使い勝手では瀬戸内航路に遠く及びません。

などなど、長くなりましたが、以下が掲載された記事となります。

「ゼロ泊」旅行ブームで見直された、安くて快適なフェリーの旅

最後に余談ですが、軽井沢高速バス事故に象徴されるように、コストを極限まで追求した高速バスには運転手の過重負担による安全性の危惧がついて回ります。

その点でも、ワンマンやツーマンで運行する高速バスとは別次元のフェリーの安心さというものがあります。
いやあ、フェリーって本当にいいものですねえ、と水野春夫風に終わります。