鞭打苦行のThrasher

翻訳者/ライター/最底辺労働者、待兼音二郎のブログであります

GQ Japan1月号に、オタクの恋愛事情についての翻訳記事が掲載されました

 GQ Japan1月号の特集はMEN OF THE YEAR(2012)です。その授賞式がテレビのニュースにも流れてちょっと驚きましたが、受賞者各氏へのインタビューがセンスのよい写真とともに掲載されています。インタビューの受け答えも記者会見のように型にはまった当たり障りのないもの……ということはまったくなく、各氏とも、だからこの人は一流なんだと思わずにはいられない棘のある花のようなひと言があちこちに出てきます。踊る走査線シリーズについての織田裕二さんの発現など、とても刺激的でした。

 一流といえば、一流のものに触れて男を磨くための雑誌、それがGQなのでしょうね。
 誌面で紹介されるファッションはジャケット\168.000など、庶民にはとても手がでないものばかりですが、紙面を繰っていずれ自分が一流になるさまをイメージするのにお金はかかりません。雑誌は税込み580円です。今は全身古着でもいつかは成功してやる、と熱い志を秘めている男性諸氏よぜひ……と、現場で防寒コートに身をつつみながら思う今日この頃です。

 さて今月号にもいろいろ記事がありますが、特に感心したのは徳之島の闘牛についての記事ですね。日本の離島の風習というとかっこ悪く、肥料臭い記事になってしまいがちなイメージがありますが、読み応え、かっこよさともに抜群です。写真もいいなあ。

 自分ですが、今回はオタクの恋愛時状を描いた「Angry Nerds」という記事を翻訳しました。
 これ、Siobhan Rosen(シボーン・ローゼンと読むみたいです)という匿名の女性ライターが書いたものなのですが、この人、自己の体験を客観的に眺めて喜劇化していて、皮肉のスパイスも効いていて、文才ありますね。細かな人名など、紙幅の制約と注釈なしでは日本人に伝わりにくいところから割愛したものが多いのが残念です。

 ちなみにタイトルの「Angry Nerds」はトリプルミーニングになっているみたいです。まずは有名なゲーム「Angry Birds」からのもじり(じっさいに「Angry Nerds」というゲームもあるみたいです)。そしてもうひとつは、Angryの通常の語義以外のニュアンス。
 それは、辞書を引けば出てくるので、ぜひご自分で調べてみてください。ヒントは、真っ赤に腫れていることです。

 さらに話はつづいて、この記事ではDungeons & DragonsやDungeon Masterという言葉がすらりと出てきて、D&Dが、ひいてはRPGがいかにアメリカでは広く浸透しているのかを実感させられました。

 筆者Siobhan Rosenは初めての彼氏をStonefist Murderewと紹介しているのですが、これはもちろん本名ではなく、D&Dでのキャラクター名なのだそうです。
 それを自分は、「石拳殺し漢」と訳したのですが、ダサいですね〜。もっと中二病っぽくてかっこいい訳ができればよいのですけど……。